2017.12.19 Tuesday

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2008.07.17 Thursday

PARS研修

 岡山大学での共同研究のためのPARS研修を行ってきました。PARS(パーズPervasive Developmental Disorders Autism Society Japan Rating Scale)は「広汎性発達障害日本自閉症協会評定尺度」のことで広汎性発達障害の支援ニーズを評価するための評定尺度です。短縮版も完成し、スペクトラム出版社より正式に発売されました。

 PARSの結果は、PDDの診断や診断にかわるものではなく、PDDの支援ニーズがあるかを判断するものです。

 学校現場ではPDDの表面的な理解は広がっていますが、実際の子どもとの一致がまだ難しく、指導者や支援者の経験則だけで「PDDではない」と決めてかかって支援がなされていることが多いようです。

 例えば「不登校」という場合も、学校に行けないということの中にPDDの支援ニーズが含まれている可能性があります。この場合は本人に対する伝え方や関わり方、関係の作り方、投稿支援の方法、投稿できてからの授業場面や対人関係の配慮などにPDD特性を配慮した工夫が必要です。いわゆる「生徒指導」の対象となっている子どもも同様です。

 アセスメントに基づいて、特性に合わせた支援を行っていくために必要なツールであると思います。

 また研修会をPARSに関わったメンバーで行っています。実際に模擬評定を行うだけでもPDDに対する理解が広がっていくように思います。




安達潤、行廣隆次、井上雅彦、辻井正次、栗田広、市川宏伸、神尾陽子、内山登紀夫、杉山登志郎: 広汎性発達障害日本自閉症協会評定尺度(PARS)短縮版の信頼性・妥当性についての検討. 精神医学(ISSN:04881281)50 巻5 号(2008.05)P.431-438(ISID:1405101204)

井上雅彦 | 実践研究 | 22:50 | comments(2) | trackbacks(0)

2008.01.10 Thursday

論文のセルフチェック

 年末から毎日のように論文を添削しています。今週のゼミでもやりましたが、いくつかの自己点検のポイントがあります。

 
要約
 目的、対象、手続き、結果、考察の論点が簡潔に書かれているか

 
問題と目的
 大きな論点から当該の問題点に絞り込み、先行研究をレビューし、明らかになっているところと、そうでないところを示してあるか
 研究の目的が具体的に示されているか

 
方法
 特に実践研究では対象児の記述部分で、自分がアプローチする部分の困難性が介入前にどのような状態だったかを書いてあるか
 再現性を高めるために具体的に手続きが書かれてあるか

 
結果
 図表の説明が的確であるか
 考察が混じっていないか

 
考察
 データに基づいたものであるか 研究目的にそって論点を絞っているか 
 先行研究の結果と比較して論じてあるか


あくまで上記は、実践研究の例ですがもうちょっとあった思います。
大変ですが実践を整理していくこと、ディスカッションしていくこと、書いていくことで課題が発見できます。

事例研究論文の自己点検表、だれか作ってくれないかなぁ。
あぁこんなことしてたら朝になってしまう。

井上雅彦 | 実践研究 | 05:42 | comments(2) | trackbacks(0)

2007.12.31 Monday

温故知新

 原稿を書くのに梅津耕作先生の著書、師匠の小林重雄先生の論文や著書などを引っ張り出しては読み返しています。学生だったころ引いたラインマーカーや書き込みが懐かしく一瞬あのころにタイムスリップします。

 今から30ー40年前の当時の先生方の思い(たぶん当時書かれた時小林先生は今の私より少し上くらいの年だったのでしょう)、当時先生方が提案されたシステムを再考するにつけ、実現してきたことよりも未だに地域ベースでも実現していない支援の方が多い現実を考え、弟子の一人として自分の力不足を感じつつ、今後の自分の学問と臨床の方向性についてまた考えるのでした。「常に地域社会の独立変数であれ」と本から聞こえてきそうやなぁ。

 2007大晦日はこんな感じでしめて、とりあえず来年再スタートすることにしよう。
それにしても仕事終わらず、学成りがたしです。

井上雅彦 | 実践研究 | 01:40 | comments(0) | trackbacks(0)

2007.12.13 Thursday

家庭でのAACをフォローせよ

 三木市での教育相談の後、三木の会での勉強会。

 松井恵子先生のPECSの実践事例の報告後、会に参加されている親御さんから、家庭でのAAC(補助代替コミュニケーション)の使用についてお話しを伺いました。

  絵カードを手渡してコミュニケーションすることから発展して、最近では外出要求として外出着を渡してくるようになったという報告でした。

 私たちはついAACの使い方を教え、そして訓練場面での「獲得」や般化に満足してしまいがちです。しかし大事なのは日常場面での「成立」なのです。

 既存の用意された選択肢から拡大発展して、本人から自発した外出要求コミュニケーションこそ「本物の成立」といえるのではないでしょうか。ここまでをターゲットにしながら家庭と協力してフォローすべきだと思います。

井上雅彦 | 実践研究 | 23:41 | comments(2) | trackbacks(0)

2007.12.12 Wednesday

介入の厳密性をあげてそして維持するために

 本日は会議と会議の資料作り、修論添削、ケースカンファ。

 介入の厳密性(treatment integrity)はコンサルテーションなどの間接介入の際に問題になる変数です。つまりコンサルティがコンサルタントの立案したプログラムを正確に実行できたかということ。

 本日のカンファで論議したのはこれをいかに高い状態で保つかということ。コンサルタントとコンサルティ、コンサルティと対象児との間の関係性も影響因の一つとしてあるのですが、このあたりをうまくアセスメントして対応していかないと時として効果が基準をクリアする手前で低下したり、維持しなかったりするわけです。

 また、最初はできるだけやりやすい課題を提案し、コンサルティにも成功体験をしてもらい、データをフィードバックしつつ、実践の努力に敬意を払い、手続きの有効性を説明していくことで実行性もあがっていくように思います。

 維持に関しては、手続き理解を促進すること以外の変数をどんどん見つけ出して、対応を考えていかないといけないということでしょう。

井上雅彦 | 実践研究 | 23:20 | comments(0) | trackbacks(0)

2007.12.11 Tuesday

考察の書き方

 月曜日は播磨町のNPOアエソン主催の研修会、その後出席者の親御さんたちと話をして神戸サテライトの中間発表会へ。帰宅後M2さんの修論添削。そして爆沈。

 火曜日はまたまた修論添削、授業、教育相談、ゼミと続いています。そしてまたまた添削。

 ここでなんどもM2さんから質問のあった「考察の書き方」について。
井上流です、念のため。

1.まず、第一パラグラフは研究の目的、方法、結果の要約を書く。
2.次に結果のデータを眺めまくって、もともとの研究目的を設定したときの仮説なり、デ ータからいえそうな点を5点以内にピックアップする。
3.先行研究の結果や仮説と比較して書く。
4.明らかにし残した点を2.3抽出して今後の課題として書き出す。
あくまでデータから語ることを基本とする。


 よくある勘違いとして、たとえば「Aのデータは良好であった。したがってこれは般化が生じたことを示している、、、。」などの記述のように一見もっともらしく見えてもこれは考察とはいえません。

 「結果の要約」が考察ではありません。この例だと「なぜ般化したのか」という要因を他のデータや研究から論ずるのが考察です。

 一回書いてしまって、そして何度もデータを眺めてみる。そして考察をいじる。そんな感じでやってみてください。目的とずれていてはだめですよ。

  

 
 

井上雅彦 | 実践研究 | 23:20 | comments(3) | trackbacks(0)

2007.12.01 Saturday

介入プログラムに至る前までの語られざる行動

 今日、というか昨日から第33回日本行動療法学会に出席しています。
大会事務局の会場係という仕事の傍らケーススタディやシンポを聞くことができました。

 エクスポージャーや臨床動作法と技法は異なっていても、いざ適用という前にきちんと条件が整えられている点が印象に残りました。とかく論文の中では適用技法とその効果が話題の中心になりますが、アセスメントから介入技法への適用へ持って行くまでのテクニックにはなかなかふれることはできません。逆に言えばこのあたりが「ライブ」の発表での醍醐味であるわけです。

 しかし一事例研究では支援者がメインの独立変数と思ったものが、実はその前の事前介入の有効性だったりすることは考えられることです。熟練のワザを一般化したり、自分の臨床に取り入れるためには、こうしたセラピストの言語化されない行動にも注意を払う必要があると思うのです。

 会場係の特権?で終了後質問に答えてくださった先生方、ありがとうございました。

井上雅彦 | 実践研究 | 03:43 | comments(2) | trackbacks(0)

2007.11.29 Thursday

障害の理解促進ー本人への説明を考えるー

 表題のLD学会2日目のシンポ報告を書こうと思っていたのですが、時間がとれず、ついでに風邪?も引いてしまったようで今になってしまいました。話題提供は山下裕史郎先生、相川恵子先生、丹藤登紀子先生、指定討論は宮本信也先生、司会は柘植雅義先生でした。丹藤先生は我が子の障害理解、相川先生は教師の他の児童生徒への障害の伝え方、山下先生は医師としての障害告知や障害理解ということを中心に発表されました。

以下私の大会プログラム切れ端メモより

 
全体的な感想としては、「障害理解」という概念と「告知」という概念を整理する必要があるように感じました。フロアからの議論もこのあたりの誤解もあったように思いました。
 「告知」の方法や「障害に対する説明」の方法について話題は集中しがちですが、この点については個々の状態に合わせた十分な配慮が必要なのはいうまでもないことでしょう。

 しかし、本人視点から考えるとそれらの「説明の方法」だけではなく、その後に本人が支援を受け入れられたり、自己理解して行動コントロールができる周囲の環境をいかに用意するかということがより大事なのだと思います。したがって「告知」や「障害理解」も本人の問題だけではなく、周囲の環境の問題こそ大きいということを考えておく必要があるように思います。

 受容にはゴールがあるわけではなく、「ここから先が受容の成立」という明確な境界があるわけでもありません。自分と他者の違いを知る、自分の特性を知る、特性に応じた自己コントロールを身につけるというプロセスの成立に対して「障害理解や告知」というものが利益をもたらす場合もあれば、必要のない場合もあるでしょう。

 周囲の理解というものも、学校教育の場合、いわゆる「障害特性を理解するような障害理解教育」から入るのではなく、「ちょっと困っている友だちがいたら、お互いに手をかしあえるようにしよう」という、いわば「お互い支援教育」から入るのが良いのではないでしょうか。これは「いじめ」に対しても有効であると思います。


 

井上雅彦 | 実践研究 | 23:50 | comments(2) | trackbacks(0)

2007.11.07 Wednesday

情報収集面接のロールプレイトレーニングで思うこと

 メンター養成講座だけでなく様々な面接場面のロールプレイトレーニングを行っているのですが、大学院の授業の一部で行っている「問題行動を主訴とした来談者に対する情報収集面接」のロールプレイトレーニングもそのひとつです。

 臨床心理を専門とする学生さん、特別支援を専門とする学生さん、いろいろやってみるとそれぞれ特徴があるのがわかります。

 「それについてどう思われますか?」「どのように感じておられますか?」のようなオープンな質問と「〜とかんじてらっしゃるんでしょうか」のようなクローズドな質問の頻度が、初回面接からかなり多いのが臨床を専攻している学生さんの傾向のようです。

 また、「いつですか?」「回数は?」など事実質問と、「〜してはいかがですか。」という提案が多くなりがちなのが特別支援を専攻している学生さんに多いように思いました。これも立て続けに聞かれたり、言われるとしんどい感じになってしまう方が多いでしょう。

 「どう思うか?」「〜と思うか」など心理状態を聞いたり確認したりする質問については初回に連発すると来談者を混乱させる要因になるように思います。

 来談者から話を聞いていく中で「問題行動がなぜ起こり、来談者がそれに対してどう対応しているのか」についてこちらが情報収集すると同時に、来談者自らがその問題行動の生起プロセスに気づいていくこと。そしてその中での来談者の感情が本人の中で徐々に明確になってきた時点で、それを推察し、両者が確認していくためにはじめてそういった質問するというプロセスが生じていくのではないかと思うわけです。

 また情報収集面接であっても「聞いてもらえている/受けとめてもらえている」という感覚によって、来談者の感情や心を楽な方向へ導いていくことができます。このあたりがMAS(動機診断スケール)などのチェック式の質問紙で情報収集するのと異なる点でしょう。

 最終的に具体的な対応について提案していく際にも、直接話を聞くことによって得られる情報は、その人が発する言外のノンバーバルな情報を含めて非常に多く、「その人が実行可能な提案」をこちらが行っていくために重要であると思います。

井上雅彦 | 実践研究 | 00:55 | comments(2) | trackbacks(0)

2007.10.19 Friday

何を目指すのか?

 特別支援学校、入所施設と2日間連続のケースカンファでした。
 
 臨床や教育で「何を目指すのか」という目標を定めることはとても重要で、かつ難しいものです。

 特別支援学校での目標設定は、学校での行動改善や、行動レパートリー獲得が最終目標ではなく、学校以外の日常場面や学校を出てからの行動変容です。強度行動障害の処遇棟での実践の最終ゴールも同じく移行先の入所施設や家庭場面での行動変容がターゲットとなるでしょう。

 また「問題の改善」も最終ゴールではなく、その先にある本人の生活の質の向上をねらわなければ、教師や職員の都合の良い「適応」になってしまいます。

 一見マイナスと捉えられる行動も本人にとっては余暇や楽しみである場合もあり、それらへの対応はそれらを完全になくしてしまうことではなく、「本人も楽しめて、ある程度周囲に許容されるもの」に置き換えていく、というかそっちを提案して「選択して頂く」ということになると思う。
 
 さらに、どんなに環境調整をおこなっても、すごい介入を行っても、完全に「マイナス部分」をなくしてしまうことはできないわけで、マイナスの出来事や行動、失敗が多少あっても許容される環境を構築したり、プラスの活動や行動を増やすことでマイナスについては「まあいいか」と本人も周りも受容しあえる、ちょっと肩の力を抜いたそんなアプローチがいいように思う。

 目指すのはマイナスをゼロにするだけの仕事ではなく、マイナスをプラスにしたり、あるいはマイナスがあってもマイナスにしない環境をつくったり、プラスを増やしてトータルでプラスにする、こんな感じ。楽しいと感じられることを増やしてあげるお手伝いと考える方が楽しいね。


 

井上雅彦 | 実践研究 | 03:51 | comments(2) | trackbacks(0)