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2008.08.07 Thursday

不登校への有効な対応と改革について思うこと

JUGEMテーマ:学問・学校

 忙しすぎて夏休みが恨めしい日々です。今年は倒れないで過ごしているだけマシでしょうか。毎年この時期後悔してしまうのですが、原因はどうやら私の仕事の入れ方、つまりプランニングの悪さによるようです。倉吉での研修を終えて、姫路入りしました。明日は三木です。

 朝日新聞の記事では不登校は2年連続の増加を示しているそうです。2年前から兵庫県の三木市教育委員会と行っている早期対応は、先生方の努力で昨年一年間で0.8%減少(中学)というデータを得ました。

山梨は人数も前年より約1割増えた。07年度は全中学校にスクールカウンセラーを配置しただけに「急増した理由が見あたらない。不登校の原因は様々で特効薬はない」(県教委)


 県教育委員会の談話が示しているように単にSCを配置しただけでは困難であるということは明白でしょう。SCが週一回という限定された時間の中で子どもを直接みるだけでは限界があります。各々の不登校に対する細やかなアセスメントを行ったり、先生方がどう取り組むかという研修やスーパービジョンを重視していく、つまり間接支援をしていく必要があると思います。

 またSCが「臨床心理士の週一回の率の良いバイト」になってしまうことを回避するためには、SCのスーパービジョンシステムを整え、教育委員会や学校と連携しながら結果を出していく必要があると思います。

 こうしたマスメディアの評論では、未だに「行かせるべき」「行かせないべき」という2極的な論議が専門家の言葉として引用されることが多いわけですが、一人ひとりのアセスメントと徹底した環境調整、そしてスモールステップの支援が原則であると思います。

 先週の明石市での研修でもお話しした内容でもあるのですが、私がかかわっている事例では家庭での昼夜逆転のケースが増えてきています。例えば、その場合の家庭環境の調整としては、家族でのコミュニケーションの改善と生活リズムの改善が必要であり、学校環境としては嫌悪場面や苦手場面の排除や調整を徹底した上でのスモールステップによる登校支援という方向です。

 ホームスクールをきちんと行っていくことの大変さや、適応教室の定員や支援者がたりない状況も改善する必要があります。フリースクールなど既存の学校という選択肢だけではなく多様な選択肢を作ることも必要です。しかし適応教室やスクールの側の自己満足だけでなく、具体的な予後のデータを示しながら議論すべきでしょう。それによってどのような地域でどのようなタイプの子どもにどのような選択肢が有効なのか示されるのではと思います。

 長期欠席と不登校の定義の曖昧さもあり、統計の読み方には注意が必要です。発達障害のある子どもの場合は、長期欠席にカウントされている場合があったりします。また特別支援学校でもかなりの不登校の子がいますが実際には長欠カウントされていたりします。

 学校の先生方が対応の主役にならざるを得ない現状では、特に中学の先生方の業務負担を軽減する事が必要なのではないかと感じています。一例を挙げると、少子化で在籍生徒数が減少する中多くの部活動がそのまま残っている学校では、かけもちの部活動指導は先生たちの大きな負担になっています。部活動が中学の先生方のアイデンティティになっている学校もありますが地域特性や生徒のニーズや実態に応じて地域クラブ制に移行することも選択肢の一つであるような気がします。

 いろいろとりとめもなく書いてしまいましたが、様々な対応についてきちんとした評価をしながら是非を論ずる必要があると思います。
 







 

井上雅彦 | 学校教育 | 23:36 | comments(8) | trackbacks(1)

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» SCが「臨床心理士の週一回の率の良いバイト」になってしまうことを回避するために [ロテ職人の臨床心理学的Blogから]
昨日のasahi.comの記事にこんなのがありまして。 不登校2年連続増 文科省...

2008/08/08 7:40 AM

コメント

遅まきながら・・・全国大会お疲れ様でした!
私は都合がつかず、お話を聞くことが出来ずに残念でした(ToT)

最近巡回支援で中学に出向くことが多くなりましたが、「不登校と発達障害は分けて考える」という方向性で進めているところが多かったり、保護者の方も、「二次障害がつくので無理はさせない」=「全く何もさせないで良い」と考えている方も多いことに少し驚いております。

子どもたちの予後を知る・・・ということがとても大切ですが、それは講演会などで当事者の方のお話を聞けばそれでOKになってしまっており、今困っているより多くの人たちのことが見えなくなってしまっている・・・という状況に、少し危機感を感じているところでした。

オニオン | 2008/08/08 9:35 AM

先日6日研究大会のフォーラムでの話です。指導助言者はSCのSVを勤める方がなんといきなり「私はここへ来たくなかった、このケースのコメントをしたくない。」と感情的な発言をしたのにはびっくり。このケースとは通級と学校と家庭と連携し行った強制登校法でした。慎重に慎重に医療サイド、臨床心理士、学校と進めたケースです。同時に2ケース行いとも学校へは行けています。指導助言者からは人権侵害、トラウマ体験、自殺したら等々言われていましたが、学校へ行くべきときに行かせないほうが人権侵害ではないでしょうか。その次の日に新聞で不登校が増えている、対策としてSCの配置をという記事を見て、SCのSVがあのような考え方である以上SCとの連携をより深くしていかないと、不登校は減少しないことを実感しました。いつもタイムリーなブログに井上先生との赤い糸を勝手に感じてしまいました。

fujimoto | 2008/08/09 7:39 AM

コメントありがとうございます。
予後をきちっとデータとして押さえることは非常に重要ですが、なおざりにされているのが現状です。

いわゆる「強制登校」についての問題も、追跡研究からは、学校にいじめなどの問題がないこと、一週間以内の初期対応であること、親と学校が連携できること、親が子どもの登校に何十日でも何百日でもつきあうこと(会社を休職しても)、家族でその子を支える一貫した体制を作ること、SVとなる専門家が対応すること、インフォームコンセントが得られることなどというような一定の条件が導き出されたと思います。

名前がよくないのと、かなり条件が限定されるのと、現場のコントロールが難しいので私は使ったことはありませんが、○○
法が有効か無効かという論議ではなく、目の前の子どものアセスメント結果からこの子どもの場合は何が有効かという話をしないと共通理解は難しく感情的な論議になってしまうのでしょう。

カリスマ的な「名人」がいてリードしていくのではなく、チームとしてアセスメント情報を共有して進めていくことが、長期のサポート体制作りにとっては良くなるのかなと思っています。

現場でのコミュニケーション、まだまだ課題は多いですね。また、予後、特に家族関係と学校での適応についてまた教えてください。

井上雅彦 | 2008/08/09 9:34 AM

不登校傾向ありで、家庭環境も不安定だったお子さんに介入したのですが、生活リズムのたて直しよりも、学校の中でのキーパーソンづくりに力を入れて、コミュニケーション改善にアプローチしたところ、登校しだした子がいました。
さらに、特別支援学級で集団活動に参加できはじめ(スモールステップで)、最終的には完全登校ができています。
先日の「うれしい知らせ」のA君もそうですが、発達障害が疑われる不登校では、コミュニケーションに焦点をあてたアプローチと、そのためのキーパーソンづくりが大きいと実感しました。
昼夜逆転や問題行動が激しいと時間はかかるかもしれないのですが・・・。

iwahashi | 2008/08/09 4:35 PM

学校現場で不登校やいじめの調査報告をしています。データをあげる側からすると、「データに一喜一憂するべきでない」、「出たデータはある程度の制限のあるものであり、それが全てではない」としか言えません。不登校傾向でありながらも、体調不調を伴う子は不登校にカウントされないこともあります。することもあります。それは各学校の判断です。不登校傾向の子で腹痛や頭痛を訴える子は多いですから。また、登校しぶりでありがちながら、午後には登校、午前の途中から登校を何とかしている子もいます。中にはSCが対応するより、福祉行政からのアプローチが必要な子、家庭も存在します。ということが、当然ですがデータだけでは分からず、データが一人歩きするんですよね。で、行政のトップに与える影響は大きいんですよね。数値で出ると、数値だけ何とかしようとしますから。

milktorin | 2008/08/12 8:50 PM

iwahashi さま
こうした事例の積み重ねが重要なのでしょうね。コミュニケーション改善といっても本人と先生、親と先生、親と本人、クラスメイトと本人など様々な方向性があるでしょうね。発達障害がない子どもさんでもコミュニケーションへの支援は重要ですね。

milktorinさま
おっしゃるとおりです。どのような報告もそうですが完全なものはありません。またどのように現実を反映させるかの基準がばらばらでは実態が反映できなくなります。

現在多くの「不登校」の実態を示すデータはあいまいです。むしろ現場からデータや数値の基準を見直す意見をあげていくことが大切であると思います。

現場では記録をつけること自体が負担になるという大きな制約や否定的な意見もありますが、まず行政と学校現場が記録をつけることの意味を共通理解することが重要なような気がします。

ものさしや尺度というのはやたら細かければ使いにくいし、またおおざっぱでは何の役に立ちません。あくまで使う側の視点が必要だと思います。

井上雅彦 | 2008/08/13 3:05 AM

一年半の不登校、行動問題、昼夜逆転の問題を抱えた息子は、登校支援「強制登校」といったほうが適切だと思いますが、その登校支援のおかげで、毎日登校するようになりました。その息子が、4年たってやっと当時を語ってくれるようになりました。
「僕の事を信じて味方になってくれる人がそこにいたから、僕は、学校に行けるようになった」
コメントされているように【学校の中でのキーパーソンづくり】これはとても重要なことだと思います。
安心できる場とわかりやすい活動はもちろん必要ですが、やはり、人間には”ひと”の存在が重要な鍵になるのではないかと息子のことばをきいて思いました。
人は人によってつぶされ、人によって救われる・・・非科学的ですが、すいません。
いち個人の感想です。

あいろんびーず | 2008/08/16 8:10 PM

スクールカウンセラーを置いたら、不登校寸前の私を救ってくれるかもとの期待を込めて、不登校という行動に向かうのではないか。最低でも、原因を作っているやつらの責任を明らかにしてくれるだろうと期待すると思う。一時的に、不登校が増えるのは、原因が見当たらないのではなくて、潜在していたものを見落としていただけではないかと疑う。顕在化したものに対応するはずの方々が、私たちには能力ありません。SC次第ですと宣言しているようなもの。不登校になってもがんばれと言われるだけだと、死ぬか転校しかない。転校を匂わすと訴えられたという報道があったから、がんばれというしかない。分子、分母が同時に減される日まで。

いじめの経験者 | 2012/09/17 11:28 PM

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