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2012.12.02 Sunday

自閉症スペクトラムを抱えた触法者の矯正プログラム


この週末は日本発達障害ネットワーク(JDDネットワーク)第八回大会に、前日からのワークショップも含め二日間出席しました。会場となった福島大学は初日,雪が降りましたが後は何とか持ちこたえてくれました。

二日目の今日は、表題のシンポジウムを聴講しました。

 まず最初に誤解のないようにしなければならないのは、発達障害のある人が犯罪をおかしてしまう確率は定型発達の人と比較して高くないということです。

 昨年、大阪で起こった事件の判決、「約30年間引きこもり状態だった被告男性が、被告を自立させようとした姉を逆恨みした動機の形成には、被告の症状が影響したと認定。「社会内で被告の受け皿が何ら用意されていない。許される限り長期間刑務所に収容することが、社会秩序の維持にも資する」として有期懲役刑の上限を選択した。」を受けた問題定義がなされました。

「受け入れ先がない」ということが刑期を必要以上に伸ばす根拠にはなり得ません。法務省は,再犯防止施策の今後の展開について,中間取りまとめを公表しています。発達障害に限らず、刑期を終えたあとの、社会的受け皿がまだまだ不十分であることを示しています。


 犯罪の予防の重要性はもちろんですが、総犯歴数別の犯歴の「件数構成比」を見ると、初犯者による犯歴の件数は42.3パーセントにとどまるのに対して、再犯者による犯歴の件数は57.7パーセントを占めているということです(平成19年版犯罪白書)。これは約3割の再犯者によって、約6割の犯罪が行われているということであり、再犯者のための帰住先・就労先確保のための仕組みの構築や薬物事犯や高齢者,障害者などについての支援の強化は大きな課題となって います。


 矯正プログラムについては,必ずしも一定の期間での効果が狙えるものではなく,刑期の長短や,それぞれの個別性への配慮,社会的スキルや感情コントロール,労働に関連したスキル,金銭管理スキルを含む生活スキルなどの般化や維持に関しては大きな課題を持っている野ではないかと思います。

 また,矯正プログラムだけでなく,逮捕から刑の確定までのプロセスにも様々な解決すべき問題があることが指摘されました。話題提供者の安藤久美子先生は,警察としては逮捕後の簡便なスクリーニングツールの開発と使用,検察に関しては適切な取り調べが行えるようにするためのレクチャー,裁判官に関しては障害特性の理解(法定での尋問の仕方など)で,これらを専門の精神鑑定人が通訳となることが提議されました。

 発達障害のある被疑者に関しては「証言」や「反省」といった取り調べや裁判に関わるコミュニケーションについて,例えば「(相手は既に亡くなっていていないのだから)謝罪はしない(言っても聞けないから)」といったような表現の不適切さやつたなさ,独特の表現などが,被害者や裁判員に必要以上に悪い印象を与えてしまったり,誤解をうけたりすることが多く,特に日本の裁判員制度では有罪か無罪かだけでなく刑期までの決定を行う(海外では有罪か無罪かのみが多いらしい)ために上記のような配慮の必要性が指摘されました。

 行動問題の延長線上にある「触法」の問題は,矯正プログラムの効果に対する厳密なエビデンスを出すだけでなく,それらの理解を得るための努力も必要で有り,専門家養成,法整備,医療と福祉と労働の連携の基での支援システムの構築が望まれています。













井上雅彦 | - | 16:08 | comments(0) | trackbacks(0)

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