2016.11.27 Sunday

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2014.11.09 Sunday

インクルーシブ教育行動を自発するための環境要因とスモールステップ

2014年 日本教育心理学会シンポジウム「特別支援教育の展望:インクルーシブ教育の目指すべきもの ―ユニバーサルデザインと専門性―」で話題提供を行いました。文部科学省は共生社会の実現へ向けたインクルーシブ教育システムの実現のための特別支援教育の推進という報告を平成24年度にまとめていますが、これをどのように捉え、様々な障害においてどのように実現するかという観点からそれぞれの専門領域から提言する(鳥居深雪先生)というのが今回のシンポの企画主旨です。

私なりの感想を以下に書いてみます。

海津亜希子先生はResponse to Intervention/Instruction (RTI)を基にした,通常の学級における多層指導モデル(Multilayer Instruction Model:MIM 〔ミム〕)の開発者であり、読み能力についてのシステムと効果を紹介されました。

鳥越隆士先生は聴覚障害のある児童生徒のためのCo‐enrollmentプログラム(チームティーチング(通常学級担任と聴覚障害児教育専門の教員)により、手話と音声言語バイリンガル環境で聴児と聴覚障害児が同じ教室で学ぶ)を紹介されました。

佐藤克敏先生からは授業の中にユニバーサルデザインをどのように入れ込むのかという点で、指導案や授業作りの観点から紹介していただきました。

私はASDの特性やニーズは「読み障害」や「聴力障害」のように数値化しにくく、かつ不可視的なもので有り、個人差もあるという点でのアセスメントの困難性があることを指摘した上で、視覚化や感覚過敏性、ASDに合併しがちな書字障害に対する支援、文脈の読めなさに対してはルールの視覚的明確化、相談できる人の存在を合理的配慮として提示しました。

これらはASDの支援者であればだれもが考えることでしょう。

しかしなぜ広がらないのか?

これらを実現していくためには、教師のインクルーシブ教育を実現する行動を自発させ、強化する環境を学校の中にデザインすることが必要だと思います。そしてまず「なぜ自分たちの学校で広まらないのか」、その要因をアセスメントすることではないかと思います。

力業としては、インクルーシブ教育の実現を法的に義務化すること、ASD支援をMIMの様に教材化しパッケージ化すること、Co‐enrollmentプログラムのようにASDの専門家を通常クラスに入れること(スクールシャドー?)などでしょうか。

ASDへの支援をMIMのようにできるかは今後可能性を模索してみたいと思いますが、Co‐enrollmentプログラムのような形は予算的人材的に難しいようにも思います(あきらめてはいけないのですが)。

私は、まず「理想のインクルーシブ教育」を最初から目標にするのではなく、まず誰でもできるようにスモールステップで実現していくことが重要であると考えます。

例えば、教室内の物理的な環境設定からはじめる、教授行動の自己モニタリングの推進、クラスメイトへの働きかけ、保護者への働きかけ、各教科ごとのガイドライン作成と進んで、最終的に学校全体での取り組みに発展させるというものです。

今のままの教育システムの中でインクルーシブ教育を教師の努力義務にしていってよいのだろうか。教師が5時に帰れる学校環境、大学での養成課程の見直し、免許がないと教えてはいけない補助教員システムなどなど、教師の教育行動を制御する教育行政という環境要因を同時に見直していかないと、いつもの「専門性の向上」や「意識改革」という具体性のない話になってしまうことを危惧します。

インクルーシブ教育を考える場合、それができない教員を「できないという個人因子」のせい、にしてはいけないと思うのです。

インクルーシブ研究は、教師がインクルーシブな教育行動を自発するための弁別刺激であり強化刺激でないといけないと感じた次第です。

シンポに声をかけていただいた鳥居先生、河崎先生をはじめ神戸大学の準備委員会の先生方に感謝申し上げます。



井上雅彦 | - | 20:02 | comments(0) | trackbacks(0)

2016.11.27 Sunday

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